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デザインデータから服をメイキング
データから製作できるモノがどんどん拡大しています。ついにニット衣類を自動生成できる3Dプリンター(?)が登場しました。
こちらは「OpenKnit」というオープンソースハードウェアです。どこらへんがオープンソースかというと、こちらのサイトから設計図やらマニュアルを入手して、自分でニット編み機を組み立てるのだそうです。現状は「ベータ版につき諸々注意!」とありますが面白い試みですね。
デザインしたデータは「Do Knit Yourself」ユーザー同士で共有可能です。これもオープンソースですね。
ところで皆さんは毎シーズンごとに変わる流行色が、どのように作られているか知っていますか?流行らせる色は、自然発生的ではなく、国際流行色委員会(INTERNATIONAL COMMISSION FOR COLOR)というところが、2年以上前から検討し”決定”しています。流行色やトレンドと呼ばれるものは作為的に作られているのです。
あらかじめ決められた流行の大量生産のファッションを着るか(しかも超高速なファストサイクルで)、自らデザインしたお気に入りの1品を作って身にまとうか。ユーザーの選択肢は拡大します。
1番良いのはこれらを組み合わせる方法かもしれません。ユニクロの味気ないヒートテックに、お気に入りのロゴや刺繍をデータから簡単に加工や縫い付けが出来る出力機械とか。そんな出力センターがユニクロ内にあったりね。
実はそんなサービスはもう始まっています。
これはイギリス・ロンドンにオープンした「YrStore」というお店です。来店者がパネル上でデザインし、それをTシャツにプリントした状態で購入できます。タブレットで自由にデザインしている様子が、まあ楽しそうで。
このデジタルとファッションの融合がもたらした”自らデザインして作れる服”の登場は、ファッションやアパレル業界の1つの流れになりそうです。
(執筆者 メンズパタンナー経験のある3Dデザイナー)
ソーシャルカードゲームアプリ「忍犬」のアプリ紹介動画を3DCMが作成しました。ゲーム内容の紹介やリアルタイムバトルの緊迫感を、3DCGのリアルな演出と迫力あるエフェクトで表現しました。
自動車メーカーのHONDAが、自社のコンセプトカーの3Dデータを無償で公開しています。車種は「FUYA-JO(1999年発表)」「FSR Concept(1994年)」「KIWAMI(2003年)」「PUYO(2007年)」「NSX Concept(2013年)」の5種類。特設サイト「Honda 3D Design Archives」上で3Dモデルを360度回転させて見る事が出来ます。
また、各車種のstlデータを無償でダウンロード可能です。このstlデータは3Dプリンターでよく使われている3D形状データで、3Dプリンターに入力すれば3Dプリントする事が出来ます。HONDAの実際のコンセプトカーを、3Dプリントとしてミニカーを作る、なんて事が可能に!
特徴的なデザインのコンセプトカー
ダウンロードしたstlデータを3DCADソフト「Rhinoceros」で開いたところ
コンセプトカーなのでどれも秀逸なデザインで、ボディーのラインなど大変勉強になります。車などの工業製品の外見の設計図とも言える3Dデータは、本来あまり外部に出したくないもの。この公開サイトは英語表記で世界中に配信されます。
円安で自動車メーカーの業績も復調気味ということもあり、HONDAはやはり世界のHONDAの様です。
(執筆者 3Dプリンティングエンジニア 3DCM株式会社)
銀座の老舗宝飾店様のご依頼で、ジュエリー用3DCADデータを閲覧できる、iPadアプリを弊社で開発しました。企画・仕様設計・iPadアプリ開発・ジュエリー3Dデータ作成を一貫して行いました。
この宝飾メーカー様は、3Dプリンターを活用した宝飾品製作をしており、自社にレーザー造形機、切削造形機を4台保有しています。一部の3Dデータを無償/有償で公開しており、その公開データは店頭のiPad/iPad mini端末で閲覧可能です。また、データ造形の様子も随時見学可能で、その際の機能説明の役割も果たしています。
3Dプリンターで精密に復元した三角縁神獣鏡(卑弥呼が使用したと言われている)が、鏡面に太陽光を当て反射させると、裏面の文様を映し出す「魔鏡」だったことが判明しました。魔鏡は、鏡の表面に、裏側の文様のに合わせ凹凸をつけたものです。実際に壁に太陽光を反射させると、ぼんやりと文様が浮かび上がりました。魔鏡現象に必要な微細な凹凸が、3Dプリンターによって精巧に再現されたことになります。
古代の遺物、考古学の分野でも、精密な3D形状解析によって新たな発見が多くあるようです。魔鏡は、古代の呪術者(シャーマン)によって人心掌握の道具として用いられたそうです。最新の3Dプリンターで浮かび上がって来た古代ロマン。現代でも我々の心を強く引き付けます。
(執筆者 3Dプリンター営業 3DCM株式会社)
フルカラー出力が可能な3Dプリンターが普及の兆しを見せています。単色では出せなかったおしゃれでカラフルな仕上がりに、アパレル分野への活用が期待されています。ここでは3Dプリンターで出力されたバッグと靴を紹介します。
「kipling(キプリング)」が3Dプリンター製のバッグを量産発表
カナダのバッグメーカー「kipling(キプリング)」が3Dプリンターで作られたバッグを発表しました。手持ちと袋は別素材で作られており、袋部分のみを3Dプリンターで出力するようです。
1点ものではなく量産品の様ですが、3Dプリンターの量産工程が、通常の量産工程と比べてコストメリットがあるかどうか、大いに疑問です。話題先行にならなければ良いのですが。
3Dプリンターで出力したフルカラー3Dシューズ
3Dシステムズ社がフルカラー3Dプリンターで作成した靴の出来がかなり良いです。フルカラーで単一素材でも、靴なら案外アリかもしれません。数年前にヒットしたCROCSやビーチサンダルみたいに。これなら3Dプリンターで出力したものが則製品になり得ます。
3Dプリンター機の性能は、色数はフルカラーになりましたが、材質は単一素材のままです。単一素材という事は、例えばプラスチックだけで、樹脂だけで、1製品を完成させなければいけません。留め具に必要な金具など、別素材の混在があると、後工程での加工が必要になってしまい、3Dプリンターの売りの1つの”ワンストップ製造”ではなくなります。3Dデータを作成し、3Dプリンターで出力して、磨きをかけて、留め具を合わせて組み立てて、では面倒なだけです。
この制限内で如何に応用範囲を広げられるか、知恵の絞り所です。
(執筆者 3Dビジネスに懐疑的な営業 3DCM株式会社)
服をデータから出力できる3Dプリンターが登場しました。アメリカのElectroloomという3Dプリンターです。
特殊な硬化性の糸を出力し、服を編み上げる様に造形していく様です。
アパレル分野での3Dデータの活用は一部ではすでに進んでおり、Marvelous Designerの様な衣服シミュレーターもあります。
これは、柔らかい布の表現を、物理計算に基づいて精密に表現できるツールです。新作のスカートのドレープは、実際に歩くとこういった見え方をする、といったシミュレーションをデータ上で行うことができます。使用方法も簡単で、illustratorなどで作成したパターン(服の設計図)を、身体の各部位にあてはめ、材質を選ぶだけです。デザイン画やパターンを起こしながら、簡単に精密な完成予想図が出来てしまうのです。
こういったデータを、今回発表された服を出力できる3Dプリンターと組み合わせれば、デザイン画から、完成予想図ではなく完成品、服そのものが出来てしまいます。
扱える材質の制限や色の再現性の問題など、服用3Dプリンターには課題があるでしょう。しかし、デザイナーやパタンナーの理想の具現化をより手軽に、してくれることは間違いないです。
(執筆者 3DCADデザイナー 3DCM株式会社)
3Dプリンターを医療分野で活用する、といったニュースが増えています。弊社でも2012年後半頃から引き合い数が増大しました。医療で3Dをどう活用するか、弊社での提供実例から具体的に説明します。
1.欠損した歯を3Dプリンティングで再生
歯科医院様からのご依頼で、欠損した歯の精密な歯を3D造形しました。3Dスキャニングで患者様の歯(顎骨を含む)を3Dデータ化。そのままの状態では目が粗すぎ、また形状が破たんしている箇所があるため、エンジニアが3Dデータのリダクション作業を行います。その後、3Dプリンターで出力後、研磨を行います。
2.患者に合わせてカスタマイズした人工関節
義足に用いる人工関節部分を、3Dスキャニングと患者固有の生体情報を組み合わせ、カスタマイズでデータを作成。光レーザー方式の3D造形機で出力後、適合部(特に生身に触れる部分)にあてはめます。
3.より実物の生体に近い臓器模型で正確な施術予行
患者によって個体差が著しい臓器を、3Dプリンターでカスタマイズ造形し、より実物に近い臓器模型で施術の予行演習が行えるようになりました。
4.医師の教育用途で精密な3D模型を活用
今まで高価だった医学模型セットも、3D造形でより精密に、しかも安価で行えるようになりました。今までご説明した様に患者個人の実際の臓器を模型化できるため、臨床実例の講義、解説などにも活用されています。
これからの課題
生体に近く3D機器にも適合した原材料の選定、適正なコストなどが今後の課題として多くあげられました。また、以前よりは高速化された製造工程も、医療現場の一刻を争うスピード感にはまだ追いついていません。データ作成から造形に3日、4日かかるようではまだまだ遅いのです。
データで作る3Dプリンティングでは、精密なのは当たり前です。精密さに加え、スピード、コスト、用途に合った材質の選定と拡充が大きな課題です。
(執筆者 3Dエンジニア 3DCM株式会社)
低価格な3Dプリンター「Cube」のメーカー3D Systems社が、チョコレート菓子製造会社Hershey社と提携契約を結びました。3D Systems社はCES2014で砂糖菓子やチョコレートを造形できる3Dプリンターを発表し話題になっていました。両社の提携で、今後、Hersheyブランドのチョコレートや菓子材料で、様々な3D菓子が登場しそうです。
3Dプリンターの新しい活用分野として、注目を受けている食品製造分野。今回のチョコレートの他に、砂糖、小麦加工品、ゼリー、飴、などにも使用できるようです。
一般家庭での普及は難しそうですが、レストラン、ケーキ屋、高級チョコ菓子店など業務用では色々とアイデアが出てきそうです。
3Dプリントで作成した新郎新婦のチョコレートフィギュアを、ウエディングケーキにのせたり。豪華な誕生日ケーキにも良いかもしれません。新しい3Dエアーイン構造で新食感、というのもありかもしれませんね。
そうなると、菓子の製造現場に、3Dデータの加工・運用技術も必要になります。お菓子を作るパティシエ職人にも、3D技術が必要になる時代が来るのではないでしょうか。
いや、そうはなりませんね。安価なハードとツールのおかげで、以前よりは3Dの導入障壁は軽減された印象ですが、扱うために必要な技術レベルはむしろ高くなっています。
3Dプリンターに代表される新しいハードの知識、より用途が拡大していく3Dデータ3Dデータを加工編集する技術の習得など。益々複雑化しており、一朝一夕では体得は難しいものばかりです。思い描いた理想のイメージを、3Dプリンターで誰でも簡単に具現化、とはいかないのが現状です。
弊社3DCMではチョコレート、砂糖菓子細工、ウエディング/バースデーケーキ用の3Dデータ作成を請け負っております。複雑な3Dデータの扱いは、専門業者にアウトソースしてしまうのが良いと考えております。
(執筆者 3Dデータ作成サービス営業 3DCM株式会社)
米Adobe Systemsは16日、「Photoshop CC」のメジャーアップデート機能として3Dプリント機能を搭載した、と発表しました。
3D形状データの編集、新規作成、メッシュ編集、3Dプリンター用の支柱作成などが行えるようです。
MayaやMaxなどのプロユースの3Dツールにはもちろん及びませんが、3Dプリンター出力前の補正、簡易ビューアーとして最適です。今まで3Dを敬遠してきたadobeユーザーにも嬉しいニュースです。
あくまで私見ですが、3Dツールのデザイナーはデザインセンスに乏しい人が多いです。デザインの形状線やメッシュ構造など数字的な情報ばかりにとらわれすぎて、メカニカルなエンジニアになりがちです。
対してphotoshop、illustratorなどを使用する画像、web、紙媒体、イラストなどいわゆる2Dデザイナーのデザインレベルは、やはりそれ相応に高い、という印象があります。
3Dデザイナーがエンジニアよりだと、生み出される3D造形物もエンジニア好みのモノ、フィギュアやマニアックなメカなどが多くなりがちです。それでは、せっかくの3Dプリンターも、一部のマニアのための高価なおもちゃに過ぎません。
より大衆受けする、親しみやすい、高いデザインセンスを持つ、彼ら2Dデザイナーの3Dプリンティング事業への参入を大いに期待します。
(執筆者 3Dエンジニア 3DCM株式会社)
Adobeのホームページ(英文)
http://www.adobe.com/